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谷内 淑恵*; 松谷 悠佑*; 吉井 勇治*; 福永 久典*; 伊達 広行*; 甲斐 健師
International Journal of Molecular Sciences (Internet), 24(2), p.1386_1 - 1386_14, 2023/01
被引用回数:2 パーセンタイル:70.44(Biochemistry & Molecular Biology)生きた細胞に放射線が照射され、DNAの数ナノメートル以内に複雑な損傷が形成されると、細胞死のような生物影響を誘発すると考えられている。一般的に、細胞に形成された複雑なDNA損傷は、蛍光体を利用すると、損傷部位の周辺が焦点のように発光するため、蛍光顕微鏡で実験的に検出することができる。しかしながらこの検出法で、DNA損傷の複雑さの度合いを解析するまでには至ってなかった。そこで本研究では、計測した焦点サイズに注目すると共に、飛跡構造解析コードを用いてDNA損傷の複雑さの度合いを評価した。その結果、DNA損傷がより複雑になると、焦点サイズも増大する ことがわかった。本研究成果は、放射線生物影響の初期要因を解明するための新たな解析手法になることが期待される。
土田 秀次*; 甲斐 健師; 北島 謙生*; 松谷 悠佑; 間嶋 拓也*; 斎藤 学*
European Physical Journal D, 74(10), p.212_1 - 212_7, 2020/10
被引用回数:3 パーセンタイル:26(Optics)水中における生体分子と重イオンの相互作用による基礎研究は、放射線生物影響の初期段階の解明へ向けて重要な知見を与えることが期待される。その中で、生体環境を模擬した真空中の液滴標的への重イオン照射実験が進められ、液滴から真空中に飛び出した生体分子グリシンの正イオン及び負イオンの生成収量が計測されているが、その生成メカニズムは未解明であった。そこで、PHITSのイオン飛跡構造解析モードを利用し、重イオンが真空から水に侵入した界面におけるエネルギー付与量を評価し、グリシンの正イオン及び負イオン分子が生成されるメカニズムを解析した。その結果、重イオン照射により発生した2次電子が関与する電離・励起、及び解離性電子付着の誘発量は、生成されたグリシンの正イオン及び負イオンの生成収量と相関があることを見出した。本成果は、放射線生物影響の初期段階の解明へ向けて、新たな科学的知見となるものである。
橋本 慎太郎; 渡辺 立子; 佐藤 達彦
no journal, ,
これまでに、ミクロな飛跡構造シミュレーションにより得られた線量分布を数学的にモデル化し、粒子・重イオン輸送計算コードPHITSに組み込むことにより、放射線被ばくによる細胞生存率を評価するモデルを開発してきた。本研究ではそれを発展させ、飛跡構造シミュレーションに基づくDNA損傷数と線量分布の関係をモデル化し、PHITSと組み合わせることにより、マクロスケールでDNA損傷数を概算できる評価方法を開発した。この手法により、ミクロスケールにおける放射線の挙動を理解し、その知見を基に人体などのマクロスケールにおける放射線影響を調査することで、DNAの損傷がどのようなメカニズムで発がんなどに影響を与えているかを明らかにすることが期待できる。発表では、さらに人体に重イオンが照射された場合のDNA損傷数の分布についても紹介する。
甲斐 健師; 松谷 悠佑; 佐藤 達彦
no journal, ,
放射線と物質の相互作用研究において、PHITSのような汎用放射線輸送計算コードは必要不可欠な技術となっている。これらのコードは、生体との作用に関する研究という観点では、臓器や組織スケールのマクロな三次元体系での線量評価等とともに、DNA損傷のようなナノスケールの微視的空間領域で誘発される放射線作用の研究への適用も期待されている。そこで、近年、このスケールでの放射線挙動を解析できる飛跡構造解析モードを開発し、PHITSへ実装し、公開してきた。本研究で、当該モードにより電子線照射に対するDNA損傷の収量をシミュレーション予測し、実験値と比較検証した結果、両者は良く一致した。これにより、従来のPHITSでは、細胞レベルのエネルギー付与計算までが限界であったが、飛跡構造解析モードの利用により、分子レベルの放射線分解が関与するDNA損傷の推定が可能になったことが検証された。
甲斐 健師
no journal, ,
放射線と物質の相互作用研究において、PHITSのような汎用放射線輸送計算コードは、マクロな複雑体系における線量評価と共に、DNA損傷のようなナノスケールの微視的空間領域で誘発される放射線作用研究への適用も期待されている。そこで、PHITSにおける飛跡構造解析モードを開発した。PHITSはこれまで細胞レベルのエネルギー付与計算が限界であったが、飛跡構造解析モードを開発したことで、分子レベルの放射線分解が関与するDNA損傷の推定が可能になった。本発表では、開発した電子・イオンの飛跡構造解析モードの利用方法について紹介することで、PHITSの新たなユーザー獲得を狙う。
橋本 慎太郎; 佐藤 達彦; 岩元 洋介; 小川 達彦; 古田 琢哉; 安部 晋一郎; 甲斐 健師; 松谷 悠佑; 松田 規宏; 平田 悠歩; et al.
no journal, ,
PHITSは、国内外の研究機関と協力し原子力機構が中心となって開発を進めている汎用の放射線挙動解析コードである。あらゆる物質中の様々な放射線の振る舞いを模擬することができるため、理学,工学,医療といった幅広い分野で7,000名以上の研究者・技術者に利用されている。おおよそ年1回の頻度で高度化を進めており、最新版となるPHITS version 3.27を2022年3月に公開した。PHITS version 3.27の前バージョンからの主な改良点として、(1)任意物質における飛跡構造解析モードITSARTの実装、(2)重陽子・アルファ粒子・光子に関する核データライブラリの読み込み機能の追加、(3)利用可能な高エネルギー核データの自動検索機能の追加、(4)EXFORの実験値を参照した核反応イベントを再現可能とする変換プログラムの開発、(5)GUI版RT-PHITSの開発、(6)系統的不確かさ評価機能(Anatally)の全タリーへの拡張等がある。本発表では、飛跡構造解析モードによる計算結果等を示すことで、追加した機能の特長を紹介するとともに、今後の開発計画も報告する。
小川 達彦; 岩元 洋介; 橋本 慎太郎; 佐藤 達彦; 松田 規宏; 国枝 賢; elik, Y.*; 古館 直也*; 仁井田 浩二*; 古田 琢哉; et al.
no journal, ,
原子力機構が中心となって開発を進めている汎用の放射線挙動解析コードPHITSについて、開発の最新状況と近年実施した遮蔽ベンチマークについて発表する。近年の重要な改良点は以下の通りである、(1)重陽子・アルファ粒子・光子に関する核データライブラリの読み込み機能の追加、(2)燃焼計算コードDCHAINの核データの更新、(3)系統的不確かさ評価機能の実装、(4)3次元ジオメトリビューアーPHIG-3Dの開発、(5)宇宙線ソース機能の開発、(6)飛跡構造解析モードの実装、(7)GUI版RT-PHITSの開発、(8)XorShift64アルゴリズムに基づく乱数生成アルゴリズムの実装、(9)ユーザー定義LETの設定機能、(10)EXFORの実験値を参照した核反応イベントを再現可能とする変換プログラムの開発、(11)光子からのミュー粒子対生成モデル実装。本発表ではさらに、岩元らの発表したSINBADに基づくPHITSのベンチマーク研究論文についても解説する。同論文では、エネルギースペクトルの正確な評価のためにはJENDL-4.0/HE等の高エネルギー核データライブラリの仕様が望ましいことが示された。